心理学の有名な話につぎのような話がある。
「幸せだから、笑顔だ」という因果だけとは限らない。
人間は、「笑顔でいると幸福感を感じる」こともわかっている。
だから、悲しくても怒っていても、まずは笑顔になることだ-。
この見出し文「言葉が先か、心が先か」と入力したところで、
大学時代の教授の言葉をふと思い出したのでした。
はじめに伝えたいことがあって、そこに言葉を当てはめていくのか?
それとも言葉を構成していく中で、伝えたいことが生まれていくのか?
文章を作成するプロセスの、メタ的な話ですね。
きっと答えはないし、どちらも正解でしょう。
ちなみに私は、1:9でほぼ後者です。
書いていく中で「あぁ、私ってこう思ってたのか」というシーンは往々にしてあるものなので。
…こう言ってはなんですが、だれかに伝えたいことって、最初はそんなにないんですよね。
テーマ・構成にそって文章作成していく中で、結果的に心の中を整理されていくような感覚であり、いわば瞑想のような自己完結作業なのかもしれません。
「伝えたいことがないのなら、なぜ書いているの?」
「どういうプロセスで書いているの?」
という謎にもつながる訳ですけども…そこは後述にて。
とりあえず、思うところをつらつらと綴ってみようかと思います。
感情先行タイプ=「思いのままに表現セヨ。」
まずは前者「はじめに伝えたいテーマがあり、そこに言葉をあてはめていく」スタイルを考えてみます。
これは素直な人、感性を大事にする人、女性性、あどけなさの感じられる人、アーティスト型といえるでしょうか。タイプの差は優劣などではなく、個々人の先天的感性・論理性・表現スタイルの違いですよね。個性です。
各々のタイプに応じた強みがあるので、適した文章構成を立てるのがベストだと個人的には思っています。無理に論理性を伸ばすより、「感情の豊かさ」という長所を前面に押し出すのがその人の個性が伝わるのではないか、という意図ですね。
ちなみに私は話し言葉のときにこういった感情先行的な話の展開となりやすいです。話し言葉は書き言葉よりもテンポが速いため、次々と心が移り行くためだと思うのですが。
「あーでもない、こーでもない、あ、でもこういうのも面白いか」などと脳内妄想を膨らませる。ふわふわといろんな感情が心の中をめぐる。
そうなると、話したいことの全体像を把握するよりも前に、ふわふわとフォーカスが次へ次へと移っていってしまうのです。
一応話の連関性が “なくはない” んだけど、話の終着点にたどり着くまでに、あれこれ寄り道してしまう感じですね。
そして相手に「?」という顔をされて、やや慌てつつ軌道修正をしながら話の終着点を探しにいく流れです。何事も収拾が一番難しいですよね。いつもゴメンヨ。
「感情」先行タイプに適する文章構成法とは?
言わずもがなかもしれませんが、このような感情先行タイプのひとには随筆・エッセイ・ネタ型(笑いや日常の小話)に適性があるだろうと思いますね。
ちょっとした今日の出来事、思ったこと、内省記録など思いのままに描く。もちろんテーマは社会的でも、哲学的でも、音楽でも、自然でも、美術でもなんでもOK。率直に興味が強いものを選ぶとよいでしょう。
ただし、意識したいポイントはつぎの3点。
感情先行タイプ: オススメの文章構成法
- 短文で、論理や起承転結を「あえて度外視」。
- 表現や言い回しは徹底的にこだわることで、差別化。
- 「1トピック×シリーズ」構成で一工夫。
論理力という点ではどうしても劣るため、そこはあえて土俵としないスタイルがいいと思います。
そして代わりに、あらかじめ自分に適した文章構成で固めてしまうわけですね。
「短文×生の感情」で伝える
論理性を問われないスタイル…つまり「短文」で勝負です。
凝縮された言葉には、オリジナル性が出るし、表現や感性がモロに出ます。
Twitter(現X)は140文字制限でしたが、これは「簡潔で本質的な発言を促し、情報を純化させるという思想」が背景にあったことは有名な話です。
長い文章になるとどうしても論理力が前提として試されます。
凝縮した言葉が価値となるスタイルにもかかわらず、むやみに薄めても何ら意味がないと思うわけですね。
また、感情表現にはなるべくこだわって、副詞や形容詞はこだわって選び抜くと自分らしい文章がつくりあげられること請け合いです。
何事も細部で価値観やブランディングは整うものなので、言葉の選び方や余白のとり方などの、「ちょっとした」部分にこだわる姿勢は大事だと思っています。
「シリーズ化」の工夫
あとは「シリーズ化」。これは小技的な話ですが。
どうしても人って続きがあるものに惹かれます。
ドラマも然り、講義も然り。単発でオワリよりも「連関性があること」、かつ、「予告があれば次回ものぞいてみよう」という気にさせられます。
1トピックを140字程度に凝縮させた上で、各々にゆるやかな連関性をもたせてつなぐ。全体シリーズ化する。
次回の予告ができればなお良いでしょう。
このあたりができると、少し上級者的発信の装いをもたせることができるかもしれませんね。
文章先行タイプ=「まずは書け。話はそれからだ。」
つぎに後者「文章や構成を先につくり、その中で伝えたいことが生まれてくる」スタイルについて。
私はこのタイプなんですが、ぶっちゃけ、テーマはなんでもいいのです。
極論をいえば、自分が苦手なトピックでもなんでもいいのです。(書きたくはないけど。笑)
このタイプはおそらく解説文・まとめ記事・分析・TIPSなどが適していて、考察は最後に添える程度にするスタイルが正直楽でしょうね。まさに序論→仮説→実験→結果→考察、の論文スタイルです。
自由感情を題材にするような記事だとなかなか、最初のテーマ決めが一番難航するかもしれませんね。そして、書いていくうちに自分の中に伝えたいことが生まれてくるため、構成も書いてみるまではしばらく定まらないというプロセスをたどるかもしれません。
そこで私が実践して「これはいいな」と思った方法なのですが…
ここでも出ます。ChatGPT。
苦手な部分こそ、AIに頼るとぐっと負荷がなくなってラクになりますよ。
テーマはAIに決めてもらってもOK
私は大まかな着地点だけ決めて、あとの細かいテーマ決めはAIに提案依頼するスタイルをとっています。
ただし、文章や構成自体は自分で行うスタイルですね。
これには理由が2つあります。
文章や構成は自分で行うワケ(≠AIまかせ):
- AI文章だと内容が均質化して無価値化するだろうと判断した
- 自作文章ににじみでる独特の文章のゆらぎ=「個性」が表現できないだろうと思ったため
なお、この「文章のゆらぎ・個性」は何度も執筆を繰り返す中で徐々にスタイル確立するものと感じます。私の場合はですが。
そして前述したように、正直テーマはなんでもいいんですよね。
たとえば、昔やってた昼テレビ番組「ごきげんよう」のサイコロであったり、飲み会で見るような王様ゲームのように、偶然的に決めてもらってもいいのです。
意外とトピックは自分で考えると思いつかないもの。
たたき台をAIに任せると、自分では思いつかない斬新なトピックに気づかせてもらえるかもしれません。お勧めです。
AIに提案依頼するときの具体ステップ
たとえばこのサイトでいえば、ChatGPTに下記のような相談をすると即座に提案をくれるでしょう。
”文章作成・構成術” のカテゴリで全8回、
記事作成の予定だがタイトルが未定。
良いトピックあれば提案ください。
ちなみにこの「#02 言葉が先か、心が先か」のタイトルはChatGPTに提案いただいたものを採用したものになります。(笑)
プロット(構成)のつくり方
テーマが決まれば、つぎはプロット(構成)ですね。これは重要です。
たとえば解説文などの場合は「序→論→考察」「要約→詳細→考察」などの構成が明白であり、この場合はプロットをつくっておくとスラスラ書きやすいです。
下に例を挙げますね。
プロット例: なぜカービィはこんなに可愛いのか?
- カービィの丸さに着目
- 他にも丸いものの事例を紹介する
- なぜ人間は丸いものを可愛いと思うのか?
- 科学的視点から解説
- (+α)丸いだけじゃなく、シュールな笑いを含めることで奥行きを持たせている
- 事例を紹介する
- ただの「可愛い」を超えた愛らしさが生まれる
- やっぱりカービィは可愛い。可愛いは正義。
カービィ記事を事例にプロットをつくってみました。
どうでしょう?実文はなくとも、だいたいの構成と書く内容の骨組みができましたよね。
あらかじめこのプロットに沿って記事内に見出しをつくれば、話が逸れすぎてしまう心配もなくなります。
ただし感情がメインの自由度高めな記事だと、自分の意見を随所に含んでいく文章となるので、少しプロットが書きづらいのが正直ですね。
書いている中で自分の意見がふわふわと変わったり、そこで得られる気づきもよく発生するので…。
そんなこんなで自由文におけるプロット作成は私自身まだ未定着なので、今後の課題でございます。いやはや、試行錯誤ですね。
伝えたいことがないのなら、なぜ書いているの?
そいで、最初の伏線回収となります。
冒頭に「伝えたいことがないのなら、なぜ書いているの?」という1文を挟みましたよね。
伝えたいことがないのに文章を書いている理由。それは-
- 文章作成する中で得られる個性=「文のゆらぎ・リズム」を獲得したい
- プロットの立て方を体に定着させ、どんなトピックでも文章構成できるようになりたい
というところが大きいです。
最初は書くのにエネルギーが要りますが、書けば書くほど、だんだんと自分らしい文章スタイル・個性・コツ(技法)がつかめてくるな、と肌で実感しています。
ニガテな部分は、別の手法やITを利用して、克服せずにやっていけばいい。
そんなスタイルでゆるく永く続けていければいいんじゃないかなー、と思っています。
次は “「いい文章」って誰が決めるの?” について、考察していきますよ。
ではまた。